博士課程に進学しました
2020年4月より、横浜国立大学大学院理工学府の博士課程後期(機械・材料・海洋系工学専攻)に進学しました。 新型コロナウイルスの影響で入学式は中止、7月まで基本的に構内へ入れない状態でした。まだこれから第二波が来る可能性が高いですが、研究活動はスタートしているので、今の気持ちを書いておこうと思います。 現在は主に論文をサーベイする時間や、家でプロトタイプを作る時間に充てています。
入学試験を受けるにあたって、GMOペパボ株式会社取締役CTOのあんちぽさんに推薦書を書いていただきました。ありがとうございました。 合格した時はペパボ研究所や会社の皆さんが喜んでくれました。感謝。そして、大学院進学を勧めてくれた妻に感謝です。いつもありがとうございます。
なぜ博士課程に進学するのか?
世界的に最先端で技術者・研究者として研究開発に取り組み、インパクトのあることをしたいと思ったからです。 新規性の高いものに取り組むのが好きなタイプでもあるので、修士課程を卒業した後、今の会社に入社しましたが、頭の片隅に博士課程の事が残っていました。 中には会社から博士号を取るように進められるパターンもあるとは思いますが、私の場合は自分の中で「そろそろ行くか!」と思えてきたので、このタイミングで進学する事にしました。
修士時代になんとなく博士課程に進もうとは考えていたのですが、その時の自分は悩みに悩んで進学するのを止めていて、「博士課程に進んだら就職できなくなるのではないか?」「本当にやりたい研究があるのか?」「世の中の博士課程の学生と戦っていけるのか?」など、色々な事を考えました。そして何も決まらなくなりました。最後は就職することに決めて「就職してから、また研究したくなったら、大学に行けば良い」と自分に言い聞かせていました。
昔、研究室にふらっと立ち寄った時に、後輩がたまたま見ていたリクナビのサイトに株式会社paperboy&co.って書いてあって、「おもしろそうな会社だし、表現者を支援する事業を色々やっているのか、自分もバンドとかやってるし良いかもな」と思って選考を受け、最終的に入社することを決めました。ここで入社できたのも、修士時代に国際学会に一緒に連れて行ってくれた先輩、研究室内でサーバ構築・ソフトウェア開発の基礎を教えてくださった先輩や先生方のおかげだと思います。ありがとうございます。
会社に入って約5,6年くらい実務経験を経てから、博士課程に進むことをぼんやり考え出して、インターネット上にある博士号取得や博士進学に関するエントリを読みました。博士号のとり方という本も読んだりしました。
博士号のとり方[第6版]―学生と指導教員のための実践ハンドブック―
- 作者:E・M・フィリップス,D・S・ピュー
- 発売日: 2018/10/17
- メディア: 単行本
また、ペパボ研究所でまつもとりーさん(id:matsumoto_r)が博士の学位取得をしている姿を見て、自分もいつかは博士課程に進むぞという気持ちが強くなりました。
読んだエントリ (他にも色々ありました)
- 京都大学博士(情報学)の学位を取得しました - ペパボ研究所ブログ
- 働きながら9年かけて博士号を取得しました - yumulog
- 博士へのけもの道: 大阪大学大学院情報科学研究科マルチメディア専攻(2002〜2004年度)の場合 - www.k2r.org
- 博士課程に進学しました - 34歳からの数学博士
これから博士課程に進学を検討している方もいると思いますので、自分も研究の成果やプロセスに関する情報を公開していこうと思います。 Maker Faire Shenzhen 2019の時にお話させていただいた湯村さん(id:yumu19)は社会人博士に関する情報を沢山公開していて、とても参考になりました。
なぜ、今の研究室を選んだか
Human-Computer Interactionに関する研究をやりたいと思い、自分の情報学やソフトウェア開発の経験を活かしながら、もう少しハードウェア寄りの技術を身に着け、センサーやウェアラブルデバイスを作り、人間とコンピューターの関わりをデザインできるようになりたいと思ってきたので、自分の専門分野とは少し違う機械工学寄りの研究室に入ることにしました。先生は研究に対して熱い方で、異分野とのコラボレーションに明るい方なので、自分の研究テーマに関しても受け入れてもらいました。コネクションは無かったので、インターネットで検索して、先生にメールでアポを取って、自分の経歴や技術力を客観的に証明できるものをまとめて訪問しました。そこから何回かディスカッションをして、受け入れてもらえることになりました。
これからどうするのか
会社に勤めながら研究を進めていきます。技術者と研究者の世界を行き来しながら、研究成果を出していこうと思います。 博士課程は結果を出さないと博士になることができません。頑張りましたではなくて、研究して論文を書いて結果を出すことが重要です。 そして、戦う相手は自分自身と世界中の研究者です。心と身体の健康に気をつけながら日々を過ごしていきます。
The illustrated guide to a Ph.D.より
博士過程は色々と険しい道かも知れませんが、周りの人の力を借りながらPh.D.になれるように進んで行きます。 これからどうなるかわかりませんが、トップカンファレンスに通せるように大学で研究を続けて、会社でエンジニアリングリードをやって、ペパボ研究所の皆さんと日々ディスカッションをして、自分の専門領域を作り出していきたいと思います。将来は海外で働くことを考えたり、事業とうまく融合できるような研究テーマについても考えています。
くろたきスタイルで、どんどん挑戦していこう。